賃貸物件で電子ピアノの演奏をすることは可能?事前に防音対策を施すことが大事!
賃貸物件にピアノの設置を希望する方もいるのではないでしょうか。たとえ設置が簡単な電子ピアノだとしても、不動産会社に確認なしに部屋に設置するとトラブルにつながることもあるため注意が必要です。今回は賃貸物件で電子ピアノの演奏するのが問題はないのか、また演奏する前に行うとよい対策についてご紹介します。
もくじ
ピアノの種類と特徴は、値段と用途によって異なる
ピアノの種類は、大きく分けて3種類あります。それぞれ、値段や用途も異なるため、使用目的や設置する場所に合わせて、ピアノを選ぶとよいでしょう。
具体的に、ピアノにはどのような種類があるのか、ひとつひとつ特徴を紹介します。
グランドピアノ
グランドピアノは、おもに上級者やプロのピアニストが使用するピアノです。値段も家庭内のものと比べて高額で、安価でも100万円以上かかります。
また、ピアノのなかでは最もサイズや音も大きいため、コンサートホールや音楽室など空間が広い場所でよく使用されています。
グランドピアノは、弦が水平に張られており、なめらかな音色が特徴的です。和音の音も濁ることなくクリアに聞こえるので、演奏会でも遠くのお客さんのもとまで、はっきりと音色が届きます。
ただし、グランドピアノはサイズだけでなく重量も約300kgと非常に重いため、床の構造上、設置できる場所が限られます。楽器可の物件でも、グランドピアノの設置はできないケースも少なくないでしょう。
防音面でも、騒音トラブルになる可能性もあるので、物件を借りる際は、グランドピアノの設置と演奏が問題ないか、管理会社に確認するのがおすすめです。
アップライトピアノ
アップライトピアノは、おもに家庭内での使用を目的にしたピアノです。値段は約50万円から100万円前後かかりますが、鍵盤の重さがグランドピアノとあまり変わらないため、練習用に使用されることが多いでしょう。
サイズは、グランドピアノと比較しても小さく、奥行きが短い縦型です。壁際に設置できるため、家庭内に置いていても、圧迫感を感じにくく生活の邪魔にもならないでしょう。
しかし、アップライトピアノは小さいモデルでも200kg程度の重量があります。床が抜ける可能性は低めですが、マンションやアパートなどの物件に設置する際は、事前に確認しておくとよいでしょう。
電子ピアノ
電子ピアノは、グランドピアノやアップライトピアノよりも軽量かつサイズも小さなピアノです。値段も10万円前後からと一般的なピアノよりも安価なので、初心者にも手が届きやすいでしょう。
一方で、電子ピアノはアコースティックピアノとは音を出す仕組みが異なり、スピーカーから録音された電子音源が再生されます。そのため、音や鍵盤の重さなどがグランドピアノやアップライトピアノとは大きく異なっています。
ただし、音量を自由に変えられたり、ヘッドホンを装着しての演奏ができたりなどのメリットもあるのも特徴的です。電子ピアノ本体からの音を調整できるので、楽器可の賃貸物件でも、気軽に練習が行えるでしょう。
賃貸物件で電子ピアノの演奏をすることは可能?
結論からいうと、電子ピアノの使用は物件の契約内容次第で可能です。電子ピアノは、ピアノの中でも軽量でサイズも小さく扱いやすいことがメリットです。自由に音量を調節できること、ヘッドホンを使って演奏音を外に漏らさずに済むことから、気軽に賃貸物件でも扱えるイメージをもつ方もいるかもしれません。
ただし、電子ピアノだとしても物件に設置可能かは借りる物件の契約書の内容によります。賃貸物件の中には、契約書でピアノの使用を許可していない場合もあるからです。理由として、ピアノから出る音が騒音となり住人同士のトラブルの原因になりやすいことが挙げられます。ピアノの使用が可能な物件だとしても、トラブル予防のための配慮が必要です。
また、心置きなく演奏したい場合は防音室がついている物件を選ぶのもおすすめです。防音室は音や振動が伝わりにくい構造をしています。そのため、騒音の心配をすることなく演奏ができます。
賃貸物件で電子ピアノを演奏する際に起こりがちなトラブル
電子ピアノを弾くことでどのようなトラブルが起こるのかについてご紹介します。起こりうる問題を事前に知っておき、予防対策を考えたうえでピアノを置くか検討しましょう。
鍵盤を叩く音
電子ピアノでヘッドホンを使用することで、ピアノの演奏音を消すことはできますが、鍵盤を叩く音が騒音になってしまうかもしれません。ヘッドホンをつけていたとしても鍵盤を叩く振動が下の階に響いてしまうことがあるからです。電子ピアノだとしても、鍵盤を強く叩きすぎないように力加減に配慮したほうがよいでしょう。
ペダルを踏む音や振動
ペダルを踏む音も、鍵盤を叩く音と同様に注意が必要となります。ペダルを踏み込む振動も下の階に伝わりやすいためです。鍵盤と同様、ペダルの踏み込みには配慮が必要でしょう。
床や壁につく傷
ピアノを置く際に床や壁に傷つけないよう注意が必要です。設置したときにできた傷に関しては、入居者に原状回復義務があるため、退去時に修繕費用がかかる場合があります。とくに趣味でできた傷は生活上の消耗や経年劣化として認められないこともあります。設置は充分に気をつけて行いましょう。また、ピアノの重量に床が対応できるか、ピアノを置く前に確認しておくことをおすすめします。ピアノの中でも軽量な電子ピアノでも、重量によっては床がへこんでしまうかもしれません。
賃貸物件で電子ピアノを演奏する際の注意点
賃貸物件では主に騒音によるトラブルが起こりやすい傾向にあります。トラブル予防のためにも、電子ピアノを使用する際の注意点を押さえておきましょう。
契約前に不動産会社へ確認
契約前に不動産会社へピアノの持ち込みが可能か、定めている規則がないかを確認すると安心です。持ち込みができる楽器の種類や使用できる時間帯などの規則を定めている物件もあるからです。事前に確認しておくことで、トラブル回避ができます。
防音対策
ヘッドホンを使ってピアノの演奏が外に漏れないようにしましょう。鍵盤を叩く音やペダルを踏む音への対策としては、防音シートや厚手のカーペット、防音カーテンなどの防音対策グッズを使うのがおすすめです。また、高価ではありますが、楽器メーカーには賃貸でも設置できるユニット型の防音室も販売されています。
ピアノの設置方法と場所
壁からはなして設置することも防音や壁への傷予防におすすめです。壁から少しでも離れていることで壁への振動を防ぎ、防音対策になります。加えて、壁を傷つけないというメリットもあります。また、隣部屋との壁際に設置しないなど、設置場所にも配慮するとよいでしょう。
ピアノを演奏する時間帯
いくらヘッドホンでピアノの演奏音を出さないようにしていたとしても鍵盤やペダルの振動が騒音になってしまうことがあります。夜間や早朝はご近所への配慮として避けたほうが無難です。また、隣人の方にピアノを使用する旨を伝えておくなど事前にコミュにケーションをとっておくと、トラブル予防になります。
自分で出来る防音対策をご紹介!
賃貸物件のなかには、楽器演奏が可能な物件もあります。ただし、楽器可の物件でも、演奏中の音が隣室に響いてしまうと、騒音トラブルをまねく可能性もあるでしょう。
物件によっては持ち込みできる楽器が決まっていたり、演奏の時間帯が決まっていたりする場合もあります。物件のルールを守るのはもちろんですが、部屋に防音対策をしておくのもおすすめです。
ほかの居住者の迷惑にならないように、緩衝材や吸音材などを使って、楽器からの音や振動が外に響かないように対策しておきましょう。
防音対策は、防音リフォームをするのが最も防音効果が期待できる方法ですが、賃貸物件では、自らの判断で防音リフォームはできません。個人でも効果のある防音対策はできるので、賃貸物件で演奏をされる方は、自分のできる範囲の防音対策を施しておきましょう。
演奏する時間を決めておく
楽器可の賃貸物件では、演奏できる時間帯が決まっている場合が多くあります。物件のルールを守るのはもちろんですが、騒音トラブルを防ぐには自分で演奏する時間を決めておくのも大切です。
演奏する時間は、できるだけほかの居住者が活動している昼間がおすすめです。夜間に演奏したい場合は、楽器に消音器をつけて演奏しましょう。
ただし、消音器をつけて演奏をした場合でも、まわりが静かな深夜や早朝は、音が隣室に響いてしまう可能性もあります。自分だけでなく、周りの人の生活を妨げないように演奏する時間帯には配慮して、練習しましょう。
消音器を用いて演奏する
楽器には、音のボリュームを抑えられる消音器というアイテムがあります。消音器のなかには音をほぼ出ないようにできるものもありますが、音量を抑えられるため夜間での練習や、アパートでの練習時によく用いられます。
たとえば、音の大きなアコースティックギターであれば、サウンドホールカバーを用いてサウンドホールをふさいだり、サイレントピックを使ったりと、ギターの音を小さくできるアイテムがおすすめです。ドラムの場合は、メッシュヘッドという消音器をつければ、演奏時の音を小さく抑えられます。
グランドピアノやアップライトピアノの場合でも、ピアノによっては消音器がついているモデルもあるでしょう。ついていないモデルでも、種類によっては、後付けで消音器をつけられるものもあります。
賃貸物件で、楽器を演奏される方は、お手持ちの楽器に対応した消音器を購入しておくようにしましょう。
消音器以外にも、イヤホンやヘッドホンを装着して、周りに音が聞こえないようにできる電子楽器もあります。ただし、電子楽器は音を出さないようにはできますが、楽器を叩いたり踏んだりした際の振動は防げません。
電子楽器や、消音器を使って演奏する場合でも、部屋に防音材を貼り付けたり、防音マットを床に敷いたりと、防音対策はしておくとよいでしょう。
サイレント楽器で練習する
楽器のなかには、楽器の音が小さなサイレント楽器もあります。サイレント楽器なら、消音器を後付けする必要もなく、そのまま室内で練習が可能なので日々の練習時間も長くとれるでしょう。
サイレント楽器は、電子楽器のためイヤホンやヘッドホンを使って練習できます。専用のアンプを使えば、大きな音を出すこともでき、人前での演奏時にも使用できるでしょう。
とくにマンションやアパートなど賃貸物件は、楽器の音や振動が隣室に響きやすくなっています。楽器可の物件でも普通の楽器でそのまま演奏すると、騒音トラブルに発展したり、練習時間が限られたりする場合もあるでしょう。
サイレント楽器は、楽器本体から音が出ないため、音量を小さくしたり無音にしたりすることもできます。人前で演奏する機会が多い方の演奏楽器には向きませんが、賃貸物件で楽器の練習をしたい方には向いているでしょう。
防音テープで隙間をふさぐ
室内の音や声が外に漏れる理由のひとつとしてあげられるのは、窓やドアの隙間です。賃貸物件によっては、壁が薄く防音対策が不十分な物件もありますが、まずは窓やドアの隙間をなくしてみましょう。
窓やドアの隙間をふさぐには防音テープを用いるのが最適です。防音テープには、合成ゴムやウレタン製、発砲ポリエチレン製などがありますが、ウレタン製は劣化しやすくすぐにボロボロになる可能性があります。合成ゴム製や発砲ポリエチレン製などの劣化がしにくい防音テープを使って隙間をふさいでみるとよいでしょう。
ただし、防音テープで隙間をふさぐだけでは、楽器の防音対策は不十分です。ちょっとした生活音や話し声などは防音テープでも効果は期待できますが、楽器の演奏音は隙間をふさぐだけでは抑えられません。
防音材や、防音マットなどで室内の防音対策を施したうえで、防音テープを使って隙間をふさいでみるのがおすすめです。防音テープで隙間をうめることで防音効果以外に断熱効果や
虫の侵入も防いでくれます。
防音材を壁に貼り付ける
騒音トラブルを防ぐには、楽器可の物件でも、個人で部屋に防音対策を施しましょう。部屋の壁に防音材を貼り付けたり、防音マットを床に敷いたりすることで、隣室に楽器の音や振動が伝わりにくくできます。
ダンボールや、包装時に使われる気泡緩衝材も、防音はできますが、防音材と比べると防音効果は高くありません。
防音材を使った防音対策なら、業者に工事を依頼する必要もなく、個人で行えます。防音材はホームセンターやインターネットショップで気軽に購入できるため、低コストで防音対策が施せるでしょう。
防音対策には、壁やマットを防音仕様にする以外にも、窓からの音漏れを防ぐ防音カーテンもあります。自分の演奏時の音が漏れにくくなるだけでなく、周囲からの音も遮断してくれるため、おすすめです。
楽器を演奏する際は、周囲に配慮して、自分でできる範囲の防音対策を施しておきましょう。
まとめ
電子ピアノは契約内容に問題がなければ、賃貸物件でも使用可能です。ただし、ヘッドホンが使える電子ピアノでもご近所トラブルの原因になることがあります。起こりうるトラブルについて事前に把握し、適切な対策方法を押さえておくことが大切です。自己判断で楽器の持ち込みはトラブルになりかねないため、まずは事前に不動産会社へ相談しておくとよいでしょう。ピアノを設置する場合は、周囲の人への配慮を忘れないことが大切です。適切な対策をしてピアノ演奏を楽しんでください。