横浜市の子育てしやすさを徹底調査!支援制度・取り組みを区ごとに解説
横浜市は子育て世帯に人気の都市のひとつです。横浜市は公園、山、海などの自然に触れられるエリアが多く、治安もよいため住みやすいといわれています。また、子育て中の世帯の不安をできるだけ和らげようと、行政や地域が一体となり「横浜市子ども・子育て支援事業計画」を作成し、市全体として子育て世帯を支援する取り組みをしています。今回はそんな横浜市で実施されている支援制度・取り組みを、区ごとに解説します。
「市」として実施されている子育て支援政策が充実
横浜市は、市として子育て支援の施策を実施し、子育て世帯が安心して暮らせるまちづくりを進めています。市の子育て支援事業を紹介します。
保育・教育コンシェルジュ
保育・教育コンシェルジュは、就学前のお子様の預け先に関する保護者の相談に応じ、認可保育所のほか、横浜保育室や一時預かり事業、幼稚園預かり保育などの保育サービスなどについて情報を提供するサービスです。
保護者のニーズと保育サービスなどを適切に結びつけることを目的として、各区のこども家庭支援課に保育・教育コンシェルジュを配置しています。区ごとに配置されているので、より身近な相談やケアができるというメリットがあります。
「今の保育園の空き状況が知りたい」「自分の働き方に合わせた預け先があるのか知りたい」など、保護者の需要はさまざまです。気軽に相談できる場として、保育・教育コンシェルジュにどんなことでも相談できるようになっています。
ほかにも、保育・教育コンシェルジュは、保育所に申込みをしたものの、入所できなかったり保留になった家庭に対して、アフターフォローしています。電話などでその時点での保育状況や保護者の意向を聞きしながら、代替となる保育施設などの情報を案内します。
保育園の落選は、保護者の働き方やその後の生活に大きな影響をおよぼします。アフターフォローを受けて、ほかの保育所の情報など、情報提供や紹介を受けられるので、不安を取り除き、今後の見通しを立てられます。
理由を問わず子どもを預けられるサービス
子育てをしていると「リフレッシュしたい」と思うことはあっても、子どもがいるとなかなかゆっくりと休めない場面も多いでしょう。このような場合には「仕事に行きたい、求職活動をしたい」「美容院に行きたい」など、理由を問わず、認可保育所や認可外保育施設などの一時預かり施設を利用できます。
横浜市では、このような市内の一時預かり施設を、無料で体験できる電子クーポンを「はじめてのおあずかり券」として、対象世帯に配付しています。
Web予約施設でアカウントを作成し、一時預かり施設で面談を受けたあと、WEB予約システム上で電子クーポンが発行されます。その後は利用したい日時をWeb上で予約すれば完了です。面談は子どもの預かりの安全上欠かせませんが、そのほかはすべてWebで完結するので便利です。
また、この「はじめてのおあずかり券」の利用時間は24時間、30分単位で利用可能です。対象児童が満2歳になった月の末日まで利用できるので、時間を区切って何度か利用できるのも嬉しいポイントです。
登校前の小学生の居場所づくり
保護者が仕事のために朝早くから家を出なければならない場合、小学生の子どもが学校の開始時間までを過ごす場所がない、という状況に置かれることがあります。
横浜市は、保護者の子育てと仕事の両立の支援と、子どもたちが小学校の始業までの時間に安心して過ごせる環境を整えることを目的として「小学生の朝の居場所づくりモデル事業」を開始しています。
長期休業日を含む平日の午前7時から8時頃までの間、小学校の教室や体育館などのスペースを利用し、子どもたちが安全に過ごせる場所を提供するサービスで、子どもたちが利用する間は、公益財団法人横浜市シルバー人材センターから派遣された会員が、子どもたちの様子を見守ります。見守る大人がいるため、保護者も子どもも安心して過ごせます。
このサービスは無料で受けられ、事業の対象の小学校に通学する児童であれば、事前登録すればいつでも利用可能です。保護者の通勤時間と、子どもの通学時間にずれが生じ、子育ての時間的なゆとりがもてない、いわゆる「小1の壁」と呼ばれる事態の解消に有効な事業といえます。
区ごとの支援制度・取り組み
横浜市は18区からなる市です。市全体での事業や施策もありますが、区ごとに取り組まれている子育て支援制度や取り組みもあります。
「子育て支援者」と話ができる支援会場
青葉区では「ほっこりんこ」という就学前のお子様と一緒に遊んだり、親子でゆっくり過ごしながら、子育て支援者と育児の話ができる場があります。区の子育て支援者が会場を運営しており、利用は無料で予約も不要です。もちろん、相談がなくても気軽に遊びに行けます。
区内のすべての会場で、9時30分から11時30分まで利用可能なので、午前中に子どもとどう過ごそうか迷ったときに気軽に利用できます。週に1回の開催の開催となるので、行きたい会場が何曜日に開催しているか、公式サイトでチェックして行きましょう。
区が主催する充実の無料イベント
旭区では、親子で楽しく遊び、子育ての悩みに寄り添い、子育ての活力になるよう、旭区内の保育、教育施設が協力して取り組んでいる「あさひ子育てマルシェ」という無料イベントが開催されています。
地区センターなどの場所で、未就学児の子どもと保護者を対象に、区のキャラクター「あさひくん」と一緒に踊る旭区オリジナル体操や保育園で人気のおもちゃや絵本コーナー、製作コーナー、保育士によるお楽しみコーナーなどが用意されており、子どもにとって楽しい思い出が作れます。
ほかにも、子育てや保育の相談コーナーもあり、会場によっては、ナースや栄養士、保育コンシェルジュに相談することも可能です。また、図書館司書による読み聞かせ、ベジチェック、乳がん予防、資源循環局のコーナーなどもあり、無料でボリュームの多いイベントを楽しめます。
1歳までの子どもと地域でシールラリー
泉区では、子どもが1歳までに地域で子育てを実施している会場を巡り、子育て情報とシールを集める「泉区お出かけ応援シールラリー」が開催されています。泉区役所でシールラリーカードをもらい、子育て応援会場を周ってシールを4枚集めると、参加賞と交換できます。
0歳の子どもとの外出は大変ですが、シールラリーが外に出るきっかけのひとつになり、楽しく子育ての情報も集められます。
区民のニーズに合わせた講座を展開
磯子区では、子どもとあたたかい関係を築くためのプログラム「CARE(Child-Adult Relationship Enhancement)」に関する講座が開かれています。
磯子区で令和5年度に実施した「磯子区子育てニーズ調査」では、保護者が子育て中に知りたい情報は「子どものしかり方・しつけ方・かかわり方」が42.1%で第1位となり、子どもとの関わり方に関する関心の高さがうかがえたことから「CAREプログラム」の実施に至りました。
「CAREプログラム」は、子どもとの関係をより楽しく、よりあたたかくするコミュニケーション方法を知る体験型の講座です。一般財団法人から講師を派遣し、子どもに寄り添った適切なほめ方や指示の出し方のヒントを学べる、全4コースの講座となっています。
磯子区では区民の関心を調査し、調査の結果にもとづき、保護者のもっとも関心の高い情報を提供しており、区民のニーズに答えた取り組みがなされています。
授乳やおむつ替えができる場所を提供
神奈川区内では、一部の保育園が、授乳やおむつ替えの場所を提供しています。外出中に授乳やおむつ替えができる場所がなく、困ってしまったときに「あかちゃんの駅」として、授乳やおむつ替えのスペースを提供できる保育園があり、予約不要ですぐに利用可能です。
「あかちゃんの駅」として利用できる施設は、区の公式サイトからチェックできるほか、各施設の入口付近にわかりやすいマークが掲示されています。授乳やおむつ替えのタイミングは予測がつかないことが多いため、すぐに場所が欲しいと思ったときに気軽に利用できて便利です。
自然豊かな区内の公園や子育てサロンなどの情報冊子の配布
金沢区で子どもと外出したいときに、公園などの遊び場の情報や子育て支援拠点の位置、情報が一目でわかる「キラキラMAP」が配布されています。
公園や広場の地図が掲載されているだけではなく、保育園の園庭開放の案内や金沢区内商業施設で行われる、保育士と一緒に遊べるイベントのお知らせ、健康管理に役立つ情報なども掲載されており、子育て世帯が知りたい情報が多数掲載されています。金沢区の公式サイトから無料でダウンロードできるので、ぜひチェックしましょう。
公式サイトには食育に関する情報が充実
港南区の公式サイトには、子どもの食育に関する情報が充実しており、参考になります。港南区公立保育園の給食のクッキング動画がアップロードされており、調理の場面を子どもと保護者が一緒に観れます。
どうやって給食がつくられるかを映像で観れるので、子どもの食べることへの関心が高まったり、給食に対する安心感を得られたり、家庭の調理の参考になるなど、保護者にとっても有益な情報といえます。
そのほかにも、港南区の公式サイトには栄養士が監修した「食事の悩みQ&A」のコーナーもあり「おやつの与え方」や「食べ方のムラがあること」などの、保護者が感じる子どもの食に関する悩みに寄り添ったコラムが、絵や図入りで丁寧に掲載されています。
乳幼児期から高校生までの子育ての悩みを、専門相談員へ相談
港北区では、乳幼児期から小・中・高校生までを対象に、子育てやいじめ、不登校、情緒不安定や思春期の問題など、子どもに関する心配ごとについて、専門の相談員が相談を受けています。
子育ての悩みは、乳幼児期だけではなく、子どもが大人になって手を離れるまでは尽きません。港北区の「総合相談」では、保健師や社会福祉職の相談員が、平日の8時45分から17時00分まで、電話で相談できます。子育てで気になることを話してみることで、解決の糸口が見つけられるかもしれません。
保育園・幼稚園・認定こども園を活用した取り組み
栄区では、保育園や認定こども園が、保育園などに通っていないお子様とその保護者向けに行っている子育て支援事業として「子育て広場」という取り組みを実施しています。
それぞれの園の施設や人材を活かして、子育て中の保護者や子どもたちが楽しく過ごせるよう、子育て相談や育児講座などを、保育園で受けられます。
また、同じ年の子どもたちがどのように遊んでいるのか知りたい、ちょっとだけ集団で遊ばせてみたい、といったときに利用できる交流保育も行われています。対象となる保育園や幼稚園などで、園児と交流して遊べるサービスです。
家庭で子育てをしていると、子どもが集団の中でどんな風に遊べるか、ほかの子どもとどう関われるのかは気になるところです。子どもたちがたくさんいる保育園で、ほかの子どもと関わる機会が得られる、有意義な取り組みだといえます。
一軒家を活用した子育て広場
瀬田区では、一軒家を活用した「ほっとスペース」という場所を設けており、子ども同士の交流の場や、子育てサポーターへの相談の場所として利用できます。
利用は無料で、実家に帰ったような気楽さや、仲間に会える楽しさも味わえる広場です。
月、火、土曜日は、階下のコミュニティカフェでランチも楽しめます。
また、子育て広場としての利用だけでなく、子どもの一時預かりもしています。利用時間は平日の10時から16時で、原則6か月から3歳以下で、ほっとスペースの利用経験のある児童が対象です。登録料は1,000円ですが、利用料金300円/時間とリーズナブルで、普段から利用している子育て広場で預かってもらえる安心感があり、保護者にとってありがたいサービスです。
臨床心理士による子育て講座を実施
都筑区では、イヤイヤ期を迎える2歳児の保護者を対象に、臨床心理士を講師に招いた講座を実施しています。
2歳児の子育ては、対応に困ったり、悩むことがたくさんあります。そんな気持ちを分かち合い、子どもの成長の道すじを知り、イヤイヤ期を乗り越えるヒントを見つけにいける講座です。保護者同士の交流や質疑応答の時間も設けられており、同じ悩みを持つ保護者と関わる機会にもなります。
子どもに兄弟がいる場合は、別室での預かりをしてもらえるのも、参加しやすいポイントです。気軽に参加してみましょう。
18区初の窓口手続きのオンラインガイド
鶴見区では、区の子育て関係の窓口手続きがオンラインでわかる「手続きガイド」を横浜市18区で初めて導入しました。
「手続きガイド」を利用すると、保育所・幼稚園の申請、児童手当や母子手帳など、区のこども家庭支援課の窓口で取り扱う手続きについて、24時間365日、スマートフォンやパソコンなどから簡単な質問に答えるだけで、事前に必要な手続や持ち物、種類によっては窓口に行かなくても郵送で済む手続きを確認できるようになります。
電話や窓口に問い合わせなくても、スマートフォンなどでいつでもどこでも必要なものをチェックできるので、子育てに追われてゆっくりと時間が取れない保護者にとってありがたいガイドになっています。
区の公式サイトに、ガイドの利用のためのQRコードが記載されているので、すぐに利用を開始できます。
これから親になる区民に向けた充実した内容の講座
戸塚区では、妊娠中の女性に向けたマタニティエクササイズや妊娠期間中に父母で参加できる両親教室の開催に力を入れています。
マタニティエクササイズは、適度に体を動かすことで、母体の心と体もリラックスすると言われています。区の公式サイトで、一緒にできる動画がアップロードされています。
両親教室は、戸塚区在住で初めて親になる人を対象として、妊娠中の過ごし方、出産、子育てについて学ぶ教室です。子育て仲間との出会いや子育て情報を知る機会になり、妊娠中の生活から出産後のセルフケアなど、初めての出産で戸惑いのある両親が、両親教室に参加して安心して生活できるような、充実した内容になっています。
未就学の子どもと保護者がくつろいで過ごせる子育て支援拠点
中区には、未就学のお子様と保護者が遊びくつろいで過ごせる場である、子育て支援拠点「のんびりんこ」があります。ちょっとした育児の相談ができ、子育ての情報も集められます。
火曜日から土曜日に利用できます。土曜日も利用可能なのが嬉しいポイントです。利用には事前登録が必要ですが、無料で利用可能です。
「のんびりんこ」の公式サイトのほかに、Instagramでイベント情報やひろば混雑の際の利用(入館制限)状況を発信しているので、利用の前にチェックするとよいでしょう。
まとめ
今回は、横浜市の子育てのしやすさや支援制度・取り組みを区ごとに解説しました。子育て世帯に人気の横浜市ですが、市として実施している子育て支援事業のほか、区ごとの独自の支援制度や取り組みがあり、区ごとに特色があることがわかります。居住する区を決めるときには、周辺の環境のほかに、子育て支援のどんな制度があるのかも事前に調べておくとよいでしょう。